真土山夕越え行きて廬前の・・・巻第3-298
訓読 >>> 真土山(まつちやま)夕(ゆふ)越え行きて廬前(いほさき)の角太川原(すみだかはら)にひとりかも寝む 要旨 >>> 真土山を夕方越えて行って、廬前の角太川原で、ただ独り旅寝することになるのだろうか。 鑑賞 >>> 題詞に「弁基(べんき)の歌」とあり、左注に「或いは、春日蔵首老(かすがのくらびとおゆ)が法師であったときの名」とあります。弁基は、大宝元年(701年)、朝廷の命により還俗させられ、春日倉首(かすがのくらのおびと)の姓と老の名を賜わったとされる人物です。和銅7年(714年)正月に従五位下。『懐風藻』にも詩1首、『万葉集』には8首の短歌が載っています(「春日歌」「春日蔵歌」と…