Vol.352 世之主由緒書を紐解いてみよう(6)
今回は宝剣の喜美留菜津久ミについてです。原文一、喜美留菜津久ミと申候宝刀之申伝。世乃主時代、喜美留村え扇子丈と申もの罷居いか引差越候処、刀一腰つり上、宝刀乃訳も不相分ものにて魚を切り候得ハまな板迄切込、夫より秘蔵いたし置き候処、其子右刀を以て怪我仕り、夫故相果申し候につき、立腹之余りに古場野(コバノ)と申野原の真石を切り申候処、ニつに切割候に付恐入本乃海中え投捨申候由。左候処夜々海中二テ光をあらわし候を、城より御見届使者を以て御取寄せ御秘蔵被成置候由。現代文喜美留菜津久ミと申す宝刀の由来一、世乃主の時代のことでした。喜美留村に扇子丈と申す者が暮らしていました。ある日、彼が海釣りに出ると、海中から一振りの刀が釣り針に掛かりました。これが世にも珍しい宝刀であるとは知りもせず、彼は庖丁の代わりに釣った魚をさばく...Vol.352世之主由緒書を紐解いてみよう(6)